[アップデート] ZendeskでAIエージェント機能とそれを利用するための新たな料金体系が発表されました
こんにちは、ゲームソリューション部の入井です。
Zendeskの2024年5月のアップデートにて、AIエージェント機能が発表されました。また、それに合わせてAIエージェントを利用するための新たな料金体系も発表されました。
Zendeskの新機能:2024年5月 – Zendeskヘルプ
今回の記事ではこちらの発表の詳細について解説していきます。
AIエージェント機能の概要
• 次世代のZendeskボットとなるAIエージェントは、すべてのサービスチャネルから寄せられるカスタマーの問題を自動で解決します。Zendesk SuiteプランまたはSupportプランの一部として、AIエージェントの機能をご利用いただけます。詳しくは「AIエージェントの概要」を参照してください。
AIエージェントは、従来のチャットボットがベースとなっており、例えば以下のような機能は今までも利用可能でした。
- 推奨記事の提示
- 顧客からの問い合わせに対してヘルプセンターの記事を提案
- 会話フロー
- ボットビルダーを使用して、あらかじめ決めたフローで顧客対応
- フローの中でのAPI連携
上記に加え、新たに使用できるようになったのが以下の機能です。
- 返答生成
- ヘルプセンターの記事の内容を元に生成された回答をボットが直接ユーザーへ提供
- ボットのペルソナ
- AIの返答の口調について指定する機能
- くだけた口調から礼儀正しい口調まで、企業ブランドに対応したものを指定可能
- ボット回答のトリガーに目的を利用
- ユーザーの問い合わせ目的に対応したボットフローを割り当て可能
- 従来のトレーニングよりも精度向上
- インテリジェントトリアージのオートリプライ(Advanced AIアドオンが必要)
- 目的、言語、感情の予測結果に基づくメールによる自動応答カスタマイズ
上記の内、インテリジェントトリアージのオートリプライ以外は今までAdvanced AIアドオンを購入しなければ使用できなかった機能ですが、それが今回AIエージェントに含まれる形で全てのプランで利用可能となりました。
各機能の詳細については、以下のページに記載されていますのでご参照ください。
AIエージェントの利用料金
アップデートページでは記載が無いですが、AIエージェントの提供開始に伴い新料金の導入開始がヘルプページで告知されています。
AIエージェントは現在、トライアルで利用できます。2024年7月10日より新料金が導入されます。
- 2024年4月16日以降にAIエージェントのご利用を開始されるお客様は、2024年7月10日からの新料金が適用されます。
- 2024年4月16日より前にZendeskボットをご利用いただいていたZendesk Suiteのお客様は、2024年7月10日以降の最初のアカウント更新日から新料金が適用されます。このスケジュールは、この日付より前に契約を変更し、Answer Botの解決数またはZendeskボットの月間アクティブユーザー数の確約に合意しているお客様には適用されません。
AIエージェントの自動解決について – Zendeskヘルプ
AIエージェントは2024年5月現在全てのSuite、Supportプランでトライアルとして無料で利用できるようになっており、2024年7月10日から新料金による有償利用が始まるようです。
自動解決数の割り当て
AIエージェントの利用金額は、自動解決数によって決まります。自動解決数が具体的にどういうロジックで計上されるのかについては後述します。
Suite, Supportの各プランには、無料で利用できる自動解決数があらかじめ含まれており、この数を超えた場合に超過料金が請求される形となります。 プランによる自動解決数の割り当ては以下の通りです(Zendeskヘルプより引用)
プラン | Zendesk Suite | Support(スタンドアロン) |
---|---|---|
Enterprise Enterprise Plus | 1か月あたり1エージェントにつき自動解決15件 | 1か月あたり1エージェントにつき自動解決15件 |
Professional Growth | 1か月あたり1エージェントにつき自動解決10件 | 1か月あたり1エージェントにつき自動解決10件 |
Team | 1か月あたり1エージェントにつき自動解決5件 | 1か月あたり1エージェントにつき自動解決5件 |
つまり、例えばSuite Enterpriseプランを20エージェントで利用している場合の自動解決数の割り当ては20 x 15 = 300件/月、Suite Teamを5エージェントで利用している場合の自動解決数の割り当ては5 x 5 = 25件/月になります。
なお、この割り当て数を超えた場合の超過料金は1件あたり2ドルとなっています。超過料金の発生を防ぐ手段としては、あらかじめアカウント毎の自動解決数の上限を設定できる機能が提供されるようです。
また、現在の自動解決数については、管理センターのアカウント→使用状況→自動解決をクリックすることで見ることができます。現在は解決数の合計と推移が表示されるだけですが、いずれここから上限設定等ができるようになると思われます。
自動解決数の追加購入
プラン毎に割り当てられた自動解決数を超えると超過料金が請求されますが、あらかじめ自動解決数をより安い単価で追加購入しておくこともできます。
単価は以下の通りとなっています(Zendeskヘルプより引用)
解決数のレベル | 自動解決1件あたりの価格 |
---|---|
100件 | $1.50 |
最大1,000件 | $1.30 |
最大5,000件 | $1.10 |
5,001件以上 | $1.00 |
自動解決数の計上ロジック
自動解決数は、チャットボットやメール・Webフォーム・の記事付きのオートリプライ機能、インテリジェントトリアージのオートリプライによって、顧客が有人対応を挟まずに自己解決できた場合に計上されます。
具体的な計上条件はヘルプページで以下のように記載されています。
チャットボット
- エンドユーザーが会話の過程で次のイベントのいずれかを経験している:
- ボットがボットの標準のフォールバック応答の一部として、少なくとも1つの記事を推奨した
- AIによって応答が生成された
- エンドユーザーが会話の終わりに到達し、回答フローの最後のステップを完了した
- 会話が人間のエージェントに転送されていない(つまり、「エージェントへの転送」ステップに達していない)。
- エンドユーザーが過去72時間以内に会話のやりとりをしていない。エンドユーザーのインタラクションには、フリーテキストの入力、会話ボタンまたはオプションのクリック、フォームへの情報入力などが含まれます。
メール・Webフォームの記事付きのオートリプライ
- エンドユーザーにおすすめの記事が提案され、エンドユーザーが以下のフィードバックプロンプト内で「はい、リクエストを終了」をクリックした場合:
- エンドユーザーにおすすめの記事が提案され、72時間以内にエンドユーザーがその記事のリンクをクリックし、かつ
- チケットのステータスが、エンドユーザーの返信またはエージェントのパブリック返信の前に「解決済み」とマークされた。または
- エンドユーザーからの返信またはエージェントによるパブリック返信がチケットに追加されなかった。
インテリジェントトリアージのオートリプライ
- インテリジェントトリアージの条件に基づくトリガを使用して、チケットにオートリプライが追加されている。
- 72時間以内にエンドユーザーからの返信またはエージェントによるパブリック返信がチケットに追加されていない。
その他、細かな条件等については以下のページに記載されていますのでご参照ください。
AIエージェントの自動解決について – Zendeskヘルプ
まとめ
今回新しく発表されたAIエージェント機能の概要とその料金体系について解説しました。
自動解決数がそこまで多くない企業では、従来Advcanced AIを購入しないと使用できなかった機能が無料で使えるようになったお得なアップデートだと思います。
Advanced AIアドオンは機能が削られた形ですが、その分数多くの新機能の搭載が予告されており、一部はEAPで既に利用可能となっております。
AIはZendesk社が今最も力を入れている領域であるため、今後も注視していきたいと思います。